特定技能とは、日本国内で問題となっている深刻な人手不足を改善するために、高い技能を持った外国人を受け入れ、この課題を解決する目的で2019年に導入された制度です。

特定技能には一号と二号があり、一号は「特定産業分野における相当程度の知識又は経験を必要とする技能を持った外国人の在留資格」です。二号は「特定産業分野において、熟練した技能を持った外国人の在留資格」です。こちらは即戦力としての採用が前提となります。

技能実習は習得した技能を母国に移転し、国際貢献をすることが目的ですが、特定技能は人手不足解消のための労働力確保というのが制度導入の目的です。

人材不足が顕著となっている以下の分野で、外国人を雇用することが日本で認められるようになりました。

①介護
②ビルクリーニング
③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
④建設
⑤造船・舶用工業
⑥自動車整備
⑦航空
⑧宿泊　
⑨農業
⑩漁業
⑪飲食料品製造業
⑫外食業

①建設業
②造船
③船用工業

フィリピン(フィリピン共和国)は298,170平方キロメートル(日本の約8割)の国土面積と7,641の美しい島々があります。人口は1億903万5,343人です。

首都はルソン島のマニラ。民族はマレー系。その他スペイン系、中国系、少数民族がいます。公用語はフィリピノ語とタガログ語、英語など他180以上の言語があります。宗教はキリスト教。国民の8割がカトリックで、その他はイスラム教など。識字率は96.3％。

フィリピンの国土はフィリピン海、南シナ海、セレベス海に囲まれています。フィリピン海のフィリピン海溝は太平洋側にあり、世界第三位の深さを誇ります。この海溝は、ルソン島中部からミンダナオ島の南方まで続きます。フィリピンは熱帯海洋性気候で、年間のほとんどが気温と湿度も高い国です。

季節は夏と秋のみで、春と冬はありません。10月下旬から3月上旬が比較的湿度が低く、快適な時期です。

2020年以降、新型コロナウイルスの世界的な流行に伴い、海外での雇用が激減し、2021年8月から首都マニラを中心にロックダウンが行われ、日本で働きたくても働けないフィリピン人材が多くいました。

2022年、入国制限の緩和により、フィリピン人材が来日して特定技能外国人として就労することが解禁となりました。フィリピンの平均年収は、国家統計局国際労働機関の調査によると23万ペソで、日本円にするとおよそ48万円ほどです。

2022年6月より14の地域で最低賃金の引き上げが行われましたが、それでも日本に比べると非常に低い給与水準です。そのため、日本で外国人雇用を目指す人が多いようです。

日本では現在約19万人のフィリピン人が働いています。なお、特定技能の制度の施行前から日本にはすでに多くのフィリピンが在留していました。中国、韓国、ベトナムに次いで4番目に多いのがフィリピン人です。

日本で働く特定技能外国人は6251人で、国籍別での割合は9.65％です。フィリピン人が日本で従事する業種で第一位が造船・船用工業(1,125人)第二位が飲食料品製造業(950人)第三位が産業(891人)第四位が産業機械製造業(778人)第五位が介護(698人)第六位が建設(601人)第七位が自動車整備(407人)八位が業形材産業(335人)九位が電気・電子情報関連業(328人)です。

フィリピンの教育機関の数は2374校で、進学率は35.48％です。三人に一人が進学の進路を希望するなど、他の東南アジアの国に比べて教育レベルの高い国です。

また、フィリピン人は英語で仕事や日常会話を行うこともあるので、英語のスキルが他国に比べて高い国です。

フィリピン人の平均年齢はなんと24歳。東南アジアで最も若い人材が多い国です。ASEAN内でも3番目の平均年齢の低さです。

日本は高齢化が進み、平均年齢が48歳なので倍の差があります。生産年齢人口は6,720万人で、全人口比は64％と非常に高く、日本の社会においては貴重な存在と言えるでしょう。

フィリピン人は明るくフレンドリーでホスピタリティ精神の高い人が多いです。人と人とのつながりを重視し、初対面の人とも抵抗なくコミュニケーションを取ることができるので、すぐに日本人の従業員とも馴染むことが期待できます。

フィリピン人を雇用するには、まずPOEA(フィリピン海外雇用庁)の認定を受けた送り出し機関と人材募集・雇用に係る募集取り決めを締結する必要があります。

フィリピン人は直接雇用することは原則禁止されています。準備書類は契約書、履歴事項証明書、雇用契約書、会社説明資料などです。

次に、POLO(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)に書類を申請しましょう。審査に通過した場合、POLOとの面接を行います。なお、POLOは東京と大阪に拠点があります。

面接で問題がなければ、POLOから発行された書類を送り出し機関に提出します。その後、送り出し機関がPOEA(フィリピン海外雇用庁)に書類を申請し、許可が降りたら人材募集が開始できます。

面接を経て内定を出し、雇用契約を締結します。その後、在留資格と海外雇用許可証を取得できればOKです。

日本にいるフィリピンを雇用する場合も、永住者、定住者、配偶者などの在留資格を取得していない場合は、POLO(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)の審査を受ける必要があります。

海外にいるフィリピンを採用する時と同様に、POEA(フィリピン海外雇用庁)の認定を受けた送り出し機関と人材募集・雇用に係る募集取り決めを締結することが必須です。

フィリピン人の外国人材を雇用する際に、雇用調整助成金が活用できます。雇用調整助成金とは、不測の事態により事業活動の縮小を余儀なくされ、売上が下がった場合などに、従業員の雇用の維持を目的として休業補償などの助成金が国から支給されます。

直近では、新型コロナウイルスの影響により売上が低迷した事業者のための特別措置が講じられています。支給までの流れとしては、休業等計画・労使協定→休業などの実施→支給申請→労働局の審査→支給決定となります。

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者の従業員の方に向けた、正社員へのキャリアアップ(登用)や福利厚生の充実を目的とした助成金です。

支給までの流れとしては、(正社員への登用の場合)キャリアアップ計画の作成・提出→就業規則などの改定→就業規則などに基づく正社員への転換→転換後6ヶ月の賃金の支払い→支給申請→支給決定となります。